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事業再生関連法規制度等について

社内勉強会

包括根保証:根保証契約、根保証制度の改正について

中小企業向け融資では、契約時に根保証制度を利用することがよくあります。2004年の民法改正により、貸金などにおける包括根保証契約の締結が認められなくなりました。しかし、商取引では引き続き利用が認められています


●根保証契約とは

根保証契約とは、たった一度の契約でその後に発生する債務にまでも保証責任を負う制度です。債務者側は必要な場合にすぐに追加融資を受けられますし(限定根保証の場合は上限金額が定められている)、債権者側にとっては債権の保全手段として有効な契約です。融資の増額や期間延長などで保証契約を結び直す必要がないなど、債務者と債権者の双方に一見メリットがあるように見えますが、実は多くの問題があります。

●根保証契約の問題

企業が倒産した際に、想定していなかった金額の代位弁済を保証人が求められるケースが多々あります。
特に包括根保証は、保証の上限や期限が設けられていないため、保証人は全ての債権を保証する義務があります。それは保証人の責任が無限に膨らむ恐れがあるということです。 そのため、これまでには保証人の責任が負担限度相応の金額まで制限された判例も出ています(東京高裁 平14.1.23など)。

《判例により金額の制限が認められた主な基準》
@ 保証契約をしたときの状況
A 取引先と保証人の関係
B 商取引の事情

中には保証人側からの解約権が認められた判例もあります。(大阪高裁 平8.6.13など)

《判例が認めた解除権行使の条件》
@ 保障契約の締結から相当の期間が経過している場合
A 債務者の資産状況が急激に悪化した場合

保証人は自分の保証債務がどのくらいの額に達しているのかという情報や、取引先の経営が悪化したという情報をすぐに得ることができるとは限りません。そのため、債権者側は、取引額が一定に達した段階での連絡や、定期的な通知など、保証人が保証債務を把握できる方法を取る必要性があります。実際に、債権者がそのような状況と知りつつ、敢えて保証人への通知を行わずに請求したケースを、権利の濫用とした判例もあります。(最高裁 昭48.3.1)

●根保証制度の改正

判例が示すように、包括根保証の責任制限は認められていましたが、根保証制度を巡る問題は後を絶たず、保証人が予想を超える債務の過重によって破産や自殺に追い込まれるなど、社会問題にまで発展しました。2004年の法改正により、貸金などを対象とした包括根保証契約の締結は認められなくなり、中小企業の連帯保証人となった経営者や第三者保証人に対し、無制限かつ無期限の包括根保証を求めることが禁止されました。

《判例により金額の制限が認められた主な基準》
@ 根保証契約は書面で行わなければ無効
A 保証人が保証する金額には上限を設ける
B 契約で定められた期間は5年以内(定めがない場合は3年)
C 主な債務者や保証人が破産したり死亡したりした場合には、それ以降に行われた融資については保証する義務はない

法改正で保証期間や上限を設けることが義務付けられたことにより、保証人の負うべき責任の範囲が明確になったことは、保証契約そのものを見直す契機となりました。これは債務者側にとっては大きな前進といえます。しかし、根保証は残っており、債務者は書面内容を十分に理解した上での契約が必要です。


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