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金融機能強化法、金融機関への公的資金注入を5年延長

社内勉強会

金融機能強化法、金融機関への公的資金注入を5年延長


中小企業への資金供給を促すため公的資金注入

地銀など地域金融機関を中心に公的資金を注入する改正金融機能強化法(金融機能の強化のための特別措置に関する法律)が平成28年11月25日、参院本会議で可決、成立しました。
同法は、低金利の長期化により金融機関の財務基盤が揺らぎ、中小企業への円滑な資金供給が行われなくなる事を防ぐための法案。公的資本注入の申請期限を、東日本大震災で被災した金融機関の資本増強を促す措置、世界経済減速懸念も盛り込まれ、平成29年3月末までの時限法案を、平成34年3月末まで5年間延長、改正されました。
同様に金融機関の保有株を、受け皿となる機関が市場を通さずに買取る仕組みや、生命保険会社の破綻に備えた政府補助の枠組みも、期限を平成34年3月末まで5年延長します。


地銀への公的資金注入:財務強化失敗なら厳しい責任問題で適用は2件のみ

金融機能強化法は、金融システムの安定化のため地銀や信金、信組など地域金融機関に対して公的資金を注入できるよう枠組みを定めた法案。当初は、平成20年3月末までの時限立法として金融機関の不良債権処理が進められていた平成16年8月に施行され、政府保証枠2兆円が設定されましたが、経営基盤の強化が達成できなかった場合、経営責任を厳しく問われることから敬遠され適用は2件にとどまりました。
平成20年12月には、リーマンショックに対応するため、公的資金を大幅に緩和し政府保証枠を12兆円に拡大、13金融機関に公的資金計3,495億円が注入されました。さらに、平成23年7月に東日本大震災の被災者、被災企業に十分な資金を供給するために、被災地の金融機関が公的資金を導入しやすくするため特例も設けました。


世界経済の成長減速が懸念され法改正

改正金融機能強化法は、少子高齢化や潜在成長力の低迷に加え、世界経済の成長減速からリスクが懸念されると、今夏取りまとめた経済対策に金融機能強化法に基づく資本増強を目的に期限延長を盛り込んでいました。
麻生財務・金融相は平成28年12月6日、金融庁で中小企業などへの金融円滑化に関する全国銀行協会長や全国地方銀行協会長など関連団体との意見交換で、「経営者や事業内容を把握し中小企業を育ててもらいたい」と要請。有望な中小企業への積極的な融資を要請しました。
年末、年度末に向け資金ニーズが高まり、資金繰りなどの相談など親身に対応していただきたい。


金融機能強化法:元々は不良債権処理の目的

金融機能強化法は当初、金融機関の不良債権処理を進める背景がありました。自己資本比率を維持するために再編、統合が大手銀行を中心に繰り返されました。
ただ、地域金融機関では不良債権処理が遅れ、経営強化に目を向けた結果、日銀のゼロ金利政策によって利ざやが薄くなっているのが現状です。同法の改正により地域金融機関の再編などによる資本強化、中小への効果的な融資に繋げるためにも同法の利用が望まれます。

3大メガバンクに迫るりそなグループは、あさひ・近畿大阪・大和銀行などが合併し資本比率を強化するため公的資金を注入。その額は、平成15年7月に3兆1,280億円に上りましたが、年々返済を続け平成27年6月には公的資金を完済しました。同法の改正により地域金融機関がりそなグループに続くか注視されます。

[2016.12.13更新]

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