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2008/01/10
 2008/01/10 復活メルマガ第十一弾


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■□    CRIメルマガ 『セントラル事業再生レポート』
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   ≪事業再生と敗者復活〜再生相談4000件の相談現場レポート≫
         
発行:株式会社セントラル総合研究所
http://www.sodan.info/
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現場レポート
 『プレパッケージ民事再生編』〜其の参〜


新春如何お過ごしでしょうか。
昨年末も各地で中小企業の悲鳴が聞えてきました。長野県松本市では、市
内の交通インフラや小売業の中核を担う地域の有力企業がクリスマスの日
に債務超過で経営危機に陥っています。また、今年に入ってまだ2週間足
らずというのに、大手自費出版社、福岡や大阪の不動産業者の破綻のニュ
ースが飛び込んできています。「早めにターンアラウンドに着手していれ
ば決定的な破綻を招かなくて済んだのに」―――。私たち事業再生コンサ
ルタントとしても地団駄を踏む思いです。

 さて、昨年から書き進めてきた通信教育のH学院の再生のケース。3回
目の今回は民事再生法に申請する前に金融機関への説明責任を果たした点
にフォーカスします。


「本日はH学院とお取引のあった全行の皆さんにお集まりいただきました」

 このシリーズの第一回でも述べましたが、06年暮、私はH学院と取引の
あった全17金融機関の担当者を一堂に集めて説明会を開きました。開催理
由は学生たちの受講の機会と中小取引先の債権を守るように根回しするた
め。そしてもう一つは、粉飾決算の指南をしたメインバンクの違法行為に
対して他の金融機関が法的処置を取らないようにするためです。これをさ
れてしまったら、H学院の再生もありません。説明会の席上、案の定ある
銀行の担当者がメインバンクの貸し手責任を問う質問をしてきました。私
はすかさず「過去のことを言っても仕方ないでしょう、今は未来に向けて
意見を集約していきましょう」とこの発言を制しました。こうしておけば、
それ以上メインバンクの責任を問う声は出なくなります。そのうえで、全
行に再生計画を納得してもらうのです。

――あえて火中の栗を拾いに行くこと――

再生のプロセスでは大切なことです。
 その裏で、私は説明会の前にK社長に対して誠意を態度で示すことの大
切さを指導していました。例えばお辞儀の仕方ひとつにしても、せっかく
いい再生計画があるにも関わらず、経営者の印象が悪くては金融機関に納
得してもらうことはできません。金融機関の理解なしで前に進むのは厳し
いのです。

 こうして細かな段取りを踏んでおくと、あれほど債権の取り立てに来て
いた銀行の担当者も不思議と納得してくれます。金融機関の性として、自
分の銀行が債務者を致命的に追い込むこと、つまり倒産の引き金を引くこ
とは避けたいのです。この話し合いの結果、全行ともに私たちが立てた再
生計画に納得してくれました。メインバンクが最多の債権放棄を行うこと
を明示したことも功を奏しました。

 さあ、ここからは粛々と法的手続きを踏むだけです。H学院は07年正月
早々に東京地裁に民事再生を申請し、その結果を待つことになりました。
そして私たちは、民事再生以降の新経営陣の組成に着手しました。

 民事再生法を使う場合、申請が通ったあとの資金繰りや事業計画立案、
そしてそれを実行する経営手腕が最大のポイントとなります。「再破綻を
招かないようにすること。」「ご迷惑をかけた債権者に対して少しでもご
恩返しができるようにすること。」

 そして今回はプレパッケージ型であり予め支援者(出資者)ありきの再
生ですから、再生後の出口戦略こそ最大のポイントです。
そのための新体制をどう作るか。


次回4回目(このシリーズ最終回)はその点を語っていきましょう。



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