メールマガジン


2008/03/01
 2008/03/01 復活メルマガ第十四弾


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■□    CRIメルマガ 『セントラル事業再生レポート』
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   ≪事業再生と敗者復活〜再生相談4000件の相談現場レポート≫
         
発行:株式会社セントラル総合研究所
http://www.sodan.info/
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 『自費出版S社のケース』〜其の一〜

前号まで、スポンサー付きのプレパッケージ型民事再生で苦境を脱しつつ
あるH学院のケースをお話ししました。

 今回から2回に渡って、経営者に再生という視点が希薄で、ターンアラ
ウンドマネージャーの力も借りなかったために社員が苦境に喘ぐことにな
った自費出版のS社のケースを取り上げます。「経営破綻」という最悪の
事態によって有能な社員が如何に路頭に迷ってしまうか。倒産の裏側の真
実を知っていただきたいと思います。

「去年の9月から給料の遅配が始まっていました。給料日には社員には一
律18万円が支給され、残りは翌月7日支払いだったのです。それでも社長
は「これからよくなる。大きな資金が入る」といい続けていました。経営
幹部にコスト管理意識は薄く、経営改善はなされていなかったと思います」
 S社に約2年務めたTさんは、倒産間際の様子をそう語ります。自分史
ブームの中、出版点数を増やし06年には年間約2700点もの書籍を出してき
たS社ですが、昨年7月、一部の著者から訴訟を起こされました。「全国
の書店に著作が並ぶ」という営業担当者の言葉を信じて契約したのに、実
際には書店にほとんど配本されなかったのは契約違反だと主張したいので
す。
 このニュースを期に、自費出版の契約数が激減し、一気に経営は悪化。
 2カ月後には給料遅配となりました。それでも何故Tさんは同社を辞め
なかったのでしょうか。
 「社長や役員は一般的な出版形態の本を重視し、自費出版をやや軽んじ
る傾向にありました。ただ、私を含め、多くの社員は『表現者のために仕
事をする』というS社の自費出版の理念に心から賛同して入社し、本を制
作してきました。著者から大事な原稿をお預かりしている以上、仕事を投
げ出し、著者を路頭に迷わせることはできなかったのです。」
 S社の経営陣は、経営が苦しくなってもプロのターンアラウンドマネー
ジャーに相談しませんでした。社長自らが描く絵空事の再生計画に終始し
てしまったのです。
 その結果、S社は今年1月7日に民事再生法の適用を申請しましたが、
18日には名乗りを上げていたスポンサー企業が支援を断念、破産手続きに
移行しました。Tさんたちを守ってくれるのは国の「未払い賃金建て替え
制度」です。これを受けるためには会社が発行する証明書が必要な上、破
産申し立て以前に退職した社員は使えないという規定もあります。社長は
雲隠れしてしまい、元社員たちは要領を得ない副社長からの説明に振り回
されました。経営者が社員や債権者に前もって説明をしなければ事態は混
乱するばかりです。民事再生法に申請する前に銀行説明会を開いたH学院
のケースとは、まさに雲泥の差です。
 Tさんだけでなく、S社には破産手続きが始まった今でも無給で出社し、
著者との連絡を取ったり、著者が買い取った在庫の発送手続を黙々と続け
ている社員は大勢いるといいます。
 これに対し、学生時代から詩を愛する人だった社長は、最後まで果たせ
ぬ夢を追い求め、現実を見ようとはしませんでした。再生に無策の破綻の
ケースは、有能な社員たちが最も被害を被ります。この先S社とTさんた
ち元社員はどんな動きを見せるのか。次号でお伝えしていきたいと思いま
す。



 『出版業の倒産状況』

東京商工リサーチが発表したデータによると、2007年の出版業の倒産件数
は66件(前年比5件増)で負債総額は約174億円。負債10億以上の大型倒産
は7件発生した。中小の出版社は月1ペースで破綻している。今年1月8日
には、ベストセラーを連発していた草思社が民事再生法の適用を申請して
いる。
 出版業界の情勢は厳しさを増している。出版科学研究所のデータ上、新
刊点数をみると、98年に6万5513点が07年には7万7417点に急伸し、一見活
気があるような印象を与えるが、推定販売金額は2兆5415億円から2兆853
億円と2割落ち込み、返品率も4割に届こうとしているのが現状だ。
 この背景には、売れ筋が新書や文庫、「ケータイ小説」と低価格商品に
シフトしていること、経営が苦しくなった出版社側もベストセラーを狙っ
て発行点数・部数を増やし結果的に返品率を上げてしまうことが挙げられ
る。他メディアとの競合、中小書店の廃業による小売拠点数の減少、新古
書店の存在など、市場の縮小で出版業界には今後も厳しい風が吹き続ける
だろう。


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