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　 　≪事業再生と敗者復活〜再生実績5000件の相談現場レポート≫
　　　　　　　　　
発行：株式会社セントラル総合研究所
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前代未聞の速攻解決！
出版社再生〜其の弐〜

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　７月29日、東京地裁において再生計画が認可された出版社アスコム。一時は
関係者の誰もが「廃業・倒産やむなし」と考えていました。ところが、ターン
アラウンド・スペシャリストの的確なアドバイスにより、現在はこれまでにな
い程のスピードで再生が進んでいます。その裏側ではどんな葛藤があったのか。
このケースの裏側をリポートします。

「アスコム夜逃げ―――」
　２月下旬、ある夕刊紙にはこのようなタイトルが踊りました。すでに20日には
「業務停止」が宣告され、オフィスには社員の姿もまばらの状態でした。すでに
２月に入ってからは社員の間でも不穏な噂がたち始め、次の職場を探す者もいた
ようです。

　20日に「倒産の準備に入る」と宣告されると、会社が倒産することなど「寝耳
に水」だった社員も含めて動揺が広がりました。
自分の担当している雑誌を丸ごと持って他社に売り込みをかける者もいました。
進行途中の原稿や写真を持ち出してしまう者もいました。
会社の再生に向けて不眠不休の努力を続ける一部の社員の足を引っ張る行為が
続出したのです。

　もっとも、そうした行為も一概に批判はできません。企業の倒産という非常
事態になれば、誰もが自分の仕事と生活を守るために必死になります。手がけ
てきた企画にも愛着があるのは当然のこと。雑誌や単行本の製作という仕事は、
入れ物（会社）は変わってもクリエイターが変わらなければ存続できるのです
から、新しい職場探しが始まるのです。
　それぞれの思惑が絡み合うなかで、セントラル総合研究所の八木とアスコム
役員の高橋の２人が「民事再生をしよう」と決断するまで、事態は混乱するば
かりでした。

残念だったのは、会社を残そうとする有志社員に対して、感情的になって嫌が
らせを行ったり、ネットに誹謗中傷の文章を書き込んだりする者がいたことで
した。「敵は身内にあった」というわけです。

　これは他の多くの再生ケースにも当てはまる事態です。本来再生事業は多く
の債権者へのお詫びや説得、あるいはスポンサー探しや再生計画の立案に力が
割かれなければならないはずなのですが、それらの作業を、かつての「身内」
が妨害してくるケースが多いのです。その結果、市場への信頼までも失墜し、
みすみす再生を見送らなければならなくなる場合もあります。
　そうなる前に、経営者は水面下で決断し、再生への芽があると感じたら、速
やかに民事再生への手続きを始めるべきです。この決断が遅れると、余計な作
業が増えてしまいます。会社の非常事態にこそ、経営者の勇気と経営センスが
問われるのです。

　今回のケースでは、３月中旬に社員説明会を行ったことで、目に余るような
妨害行為はひとまず治まりました。席上、八木が民事再生に着手したことを説
明し、社員のもつ労働債権は保全されることを約束したことも大きかったと思
います。
　結果的にアスコムに残ることを選択した社員は高橋を含めて５名。再生作業
の途中で「私も手伝えませんか」と戻ってきた社員が２名。計７名が「民事再
生」という、周囲から見れば「泥船」に残る決心をしたのです。

　これでやっと内部の「意志」は固まりました。とはいえ、まだまだ裁判所が
「再生計画」を認可するまでには山のような課題が残っています。
　ここからは、残ったスタッフとセントラル総研内に作られた「再生スペシャ
ル・チーム」の結束力・総合力が試されます。
　そこにはどんな「試練」が待っていたのか。
　次回お伝えいたします。


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