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事業再生の現場から

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(111)「バター不足」再来は/
政府の「その場しのぎ」に疲弊する日本社会の縮図?!

不動産 商品値上げが騒がれる昨今、値上げどころの騒ぎでなくなっている商品が「バター」です。
価格高騰の果てには小売店の陳列棚からバターが姿を消し、かつて何度か日本中を騒がせた「バター不足」が再び問題となっています。

「バター不足」が初めて社会問題となったのは平成20年
大量の牛乳が産業廃棄物として処理されたことをきっかけに農水省の指導で牛乳の減産がスタートしたものの、減産で価格が安定したのも束の間、今度は供給が衰えたというバランスの悪さが招いた事態でした。

生クリームやヨーグルトの生産を優先
国内で生産された牛乳はまず飲料用、次いで生クリームやヨーグルトなどに使用されます。
バターやチーズなどの比較的日保ちのする固形乳製品に回されるのはいちばん後になるという事情もあり、生産の調整が難しいとか。
余剰乳で過剰に生産され、牛乳減産により品薄に陥るといったバターは経済変動に振り回される中小企業の姿とダブります。

今回のバター不足の原因を探ると
「昨夏の猛暑で乳牛の体力が落ちて出産できない牛が多くなったため、搾乳量が減った」ことが主因とのこと。 まさか乳牛の少子化も庶民の生活にここまで影響するとは、因縁めいたものを感じずにはいられません。

農水省:品薄表面化前に緊急輸入
農水省は今年5月、品薄が表面化する前にバター7,000トンの緊急輸入を実施しました。
ところが一向に事態は改善の様子を見せないまま巷はクリスマス商戦に突入。
9月26日、農水省は再びバター3,000トンの緊急輸入措置を発動し、市場への供給が再開しています。

バター不足は慢性化?
この措置によって、当面のバター需給は安定することでしょう。
しかし、同様の騒動はここ数年間で頻繁に起きており、バター不足は半ば慢性化しているのが実態。
緊急輸入は小手先の手法にすぎず、抜本的な解決にはつながりません。

廃業が後を絶たない酪農家
高齢化や、円安による原料費の高騰で、酪農家の廃業は後を絶たず、それに伴い、生乳生産量も落ち込みを続けています。
現在のように「余った生乳をバター製造に回す」という構造のままでは、騒動の再発も時間の問題でしょう。

バターの供給改善すらできない国が・・
日本国内の中小企業廃業や少子高齢化といった社会問題も同様で、抜本的な改革がなされなければ改善は不可避。
バター供給の改善すらできない国が、少子化対策・経済対策といった大きなプロジェクトに成功するとも思えない…というのが本音です。
いずれの局面においても、政府・業界一丸となっての構造改革が求められます。

[2014.12.26配信]

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