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事業再生の現場から

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(133)なにが経営危機を引き起こしたか?〜ヒットブランドの台所事情

国内の美容サロンとしてはおそらくNo.1の知名度を誇るであろう「MP(仮称)」を運営するJ社。
つい最近まで、外出の度にそこここで広告を見かけたものですが、資金繰りの悪化と広告事業を手がける上場企業のR社への事業譲渡へ向けて協議中であることが報じられました。

急転落のきっかけはクレームの殺到

人材不足寝耳に水の知らせと感じたものではありますが、今回のJ社の急転落のきっかけは一体何だったのでしょうか。
海外にもサロンを展開し、MPは会員数250万人を超えるまでに拡大していました。しかしながら、1年ほど前からは「予約がまったく取れない」といったクレームが殺到していた様子。
急激な需要増に対応し切れなかったことは想像に難くはありませんが、施術スタッフが不足しているにもかかわらず、J社はテレビCMや電車の中吊り広告を打ち続けていたのです。


低価格脱毛エステでも苦情

また、脱毛サロンの乱立・低価格競争の激化に伴い、やけどや皮膚トラブルなどの事故も取り沙汰され、各地の国民生活センターには脱毛サロンについての苦情が相次いでいました。急転落のきっかけ
こういった格安脱毛エステのビジネスモデルを問題視する声が広がるに従って、解約件数も急増。急転落のきっかけ。
会員が前払いした代金に対する返還費用が膨らみ、資金繰りが悪化した次第です。急転落のきっかけ急転落のきっかけ。

MPをはじめほとんどのエステサロンは「前受金制度」を採っていますが、MPの最大の問題はこの前受金の会計処理にあります。


「前払金」は「預かり金」

前払い金は、あくまでも「預かりもの」。万が一の解約に備えて保全しなければなりません。急転落のきっかけは、前受金として、貸借対照表には負債として計上し、施術の進捗に合せて売上に計上するのが普通の会計処理です。

ところが、J社ではそれを全て「売上」としてしまい、前受金として計上してはいなかったのです。

この間違いが、なぜ大問題となるのか…堅実な経営者であれば造作なくお分かりでしょうけれども、次回、もう少し切り込んでみたいと思います。


[2015.11.27配信]

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