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事業再生の現場から

(148)過半数が赤字転落?!人口減×低金利で地銀再編加速へ

「10年後には地銀の半分以上が赤字に転落──」

下請けいじめこんなショッキングな未来予測が、金融の現場では話題になっています。
9月に発表された金融庁の試算によると、全国106の地方銀行の貸出業務に伴う収益見通しについて、2025年3月期に赤字に転じる地銀が半数超にのぼることが分かりました。
人口減少社会の到来に加え、日銀のマイナス金利政策の長期化が予想されるなかで、利ざやの縮小が加速し、経費をまかないきれない地銀が相次ぐと予測されているのです。

貸出ニーズはハイペースで減少
高齢化が進んで預金減少のスピードは緩やかになると考えられますが、金融庁は貸し出し需要がハイペースで減少するとみています。
預金をどれだけ貸し出しに回しているのかを示す預貸率は現在約70%。これが低下すると、利ざやの縮小に拍車がかかります。

地銀の収益=国債・株式の売却
地銀は現在、本業の収益悪化を国債や株式の売却益で補い、利益を上げています。
貸し出し業務の赤字がすぐに経営不安につながるわけではありませんが、地元の中小企業への積極的な融資や経営支援を強化しなければ、地銀経営が将来、成り立たなくなる可能性も否定できません。

中小への融資は縮小幅が緩やかに
その一方で、地元の中小企業向け貸し出しが多い地銀などは利ざやの縮小幅が緩やかになるとの分析結果も併せて示しています。
貸し倒れリスクが低い代わりに利ざやも薄い大企業や自治体向けの融資競争に力を入れるのではなく、地域密着で中小零細企業にも積極的に貸し出すことが収益力の強化につながると見ています。

金融庁:地銀に行政方針、具体的な対応を
これを受け、金融庁は10月に公表した今事務年度(2016年7月〜2017年6月)の行政方針で、ビジネスモデルに大きな問題を抱える地方銀行に対して具体的な対応を求める方針を明記しました。
財務健全性がまだ良好な今のうちに持続可能なビジネスモデルを構築させるべき・・・という考えに基づき、預金を集めて貸し倒れリスクの低い取引先に貸し出す「薄利多売」の収益モデルからの転換を促しています。

金融庁の最後通告:地銀再編
金融庁は予て、統合再編へ向けての指針を示していましたが、今回の試算は地銀再編を促す最後通告とも言えるでしょう。
この先、地銀再編が進むなかで、中小零細企業への支援策はどのように進められることになるのでしょうか。

[2016.11.8配信]

 ☆「事業再生の現場から」過去掲載分(1)〜(147)はこちらから。
   ⇒http://www.sodan.info/mailmaga/mailmagazine.html

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