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事業再生の現場から

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(25)大震災で企業の使命を再確認/被災地で念願の新事業スタート

(24)では、東日本大震災の被災地で辛くも倒壊を免れ、復旧に向かう小倉酒造(仮称)についてご紹介しました。日々の資金繰りに悩んでいたところへ地震による被害を受け、思い悩むことも多いだろうと心配していましたが、社長の佐藤氏(仮名)は「辛いことは多いけど、いいこともあった」と教えてくれました。

まず仰ったのは「地震の後は何日も停電が続いて、日が落ちたら何もできない。おかげで久しぶりにぐっすり眠りましたよ」。震災前は、決算期ということもあり、資金繰りのことばかり考えて眠れぬ夜を過ごしていたそうです。しかし停電では寝るしかないと、ゆっくり睡眠をとったらスッキリ。「心がリセットされたようです。今は社員が揃って仕事ができるのが本当に嬉しいと思えます」と語ります。

ウチの社員は一人も脱落させない
震災後は社内で通常の業務ができる状態ではなく、ほとんどの社員やパートのスタッフには休職してもらっていたとのこと。営業ができなくても会社としては支払いや損壊した設備の補修費は発生するため、緊急雇用助成金の申請などをしていたそうです。
しかし、日を追うごとに「重要なのは『生活再建』だ」という考えが強まり、「雇用の維持、事業の継続こそが自分の使命」と実感したのです。その後は「無理やりでも仕事を作ろう」と、スタッフ全員で施設内の片付けや大掃除をしながら、徐々に業務を再開しているそうです。
「今回の震災で、自分のやるべきことが明確になりました。『震災だから仕方ない』なんて言ってたら東北が丸ごと腐ってしまう。ウチの社員は一人も脱落させないぞ!」と意気込む声は非常に頼もしくあります。

酒がだめなら粕漬けつくり
さらには「地震で酒やビールのタンクがいくつか壊れてしまったけど、この機会に昔からやりたかった粕漬けを作って売ろうと考えているんです」と、前向きな計画まで。既に保健所に許可申請などを済ませているそうで、地元の農産物の活用や全国販売など、アイデアをまとめるのに忙しい様子です。
「蔵は壁が落ちたくらいだから壊れたままでもいいかと思ったんだけど、工務店に見てもらったら『余震来たら危ないよ』って言われて…結局復興にはお金はかかるから、がんばって働かないとね!」思いがけずはつらつとした声を聞かせてもらい、こちらの方が元気付けられる思いです。

東日本大震災の発生からまもなく2ヶ月が経ちます。災害による被害を受けた企業はもちろん、直接の被害を受けていなくとも、災害後の社会の変化による「2次被害」に苦しむ企業も多くあります。セントラル総合研究所ではそういった企業の事業や雇用を守るために、事業再生のノウハウを提供するという使命を、改めて感じています。

[2011.5.10配信]

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