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事業再生の現場から

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(26)震災直前のBCP策定が奏功:早期復旧を叶えた被災企業

災害や事故の損害を最小限にとどめるBCP
3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方の沿岸部を中心に、多くの中小企業にも被害を与えました。地震、台風など自然災害に有効な対処方法を持たない中小企業の事業中断は、その後の事業縮小や従業員解雇といった問題を引き起こします。復旧が大幅に遅れた場合には、廃業や倒産にも至りかねません。災害や事故などの損害を最小限にとどめ、経営を早期に回復、継続させるための危機管理が求められています。
そのための人員や設備、資金などの資産を準備し、緊急時における事業継続の方法、手段などを取り決めておく計画をBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)といいます。中小企業庁は平成18年に「中小企業BCP策定運用指針」を公表しました。

BCPは企業価値の向上にも
巨大地震だけでなく、近年頻発している夏季のゲリラ豪雨による洪水・土砂崩れなどの大規模な自然災害の発生も相まって、「危機管理」という概念は中小企業にも広く浸透してきたという実感はあります。
セントラル総合研究所では、大きな被害を受けた場合、復旧のための資金捻出に苦しむことが予想される中小企業にこそBCPが必要とも申し上げてきました。事前の対策により、早期復旧ばかりではなく、事業継続という社会的責任を果たすことで取引先や地域の信頼を得れば、企業価値の維持・向上にもつながります。このBCPの重要性に対する認識は日増しに高まっています。

今回の東日本大震災で、辛くも壊滅を免れた企業の中には、事前に策定したBCPを生かして、早期復旧を果たしたケースがありました。未曽有の危機に中小企業はどう対応したのでしょう。

震災後1週間で事業再開
関東のリサイクル業、(株)OPN(仮称)。海岸近くにある廃油や廃プラスチックの再処理工場は、タンク15基のうち3分の2が流失し、プラント建屋も破壊されました。
大きな被害を受けたOPNですが、廃油回収業務は震災後約1週間で再開。その4日後には、残ったタンク車と設備で工場廃水の中和処理も再開に漕ぎ着けました。「昨年末に策定したばかりのBCPが役に立ちました」と社長の越谷工吉氏(仮名)は語ります。

具体的には、どのような対策が奏功したのでしょうか。次回お伝えしたいと思います。

[2011.5.19配信]

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