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事業再生の現場から

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(28)あの大地震から3年…ダブルパンチに喘ぐ温泉旅館

東日本大震災の発生から3ヶ月が経ちましたが、被災地の一部ではもうひとつ、大きな節目を迎えています。岩手宮城内陸地震から14日で3年。地震によって引き起こされた山津波など、最も大きな被害を受けた宮城県栗原市では追悼式が行われました。

3年前の地震:営業再開は5軒中1軒のみ
岩手宮城内陸地震の被災地周辺には200年以上前から複数の温泉施設がありました。それぞれが特色をもつ温泉です。かつては湯治場として近郊の人々で賑わい、日本の「温泉遺産百選」に選ばれるなど、全国的にも高い知名度を誇っていました。登山ブーム、温泉ブームなど、時代と共に地域の観光の礎として栄えた地域ですが、平成20年の地震発生以来通行止めとなっていた国道が昨年夏に再開通を果たしたことで、ようやく復興の足掛りを得たばかり。
ところが、観光の中核を担う温泉旅館のほとんどは今も、地震の痛手から立ち直れずにいる状態です。資金の調達や湯量不足などが障害となり、営業を再開したのは民間の施設では5軒中のうち1軒にのみといいます。被害を受けた民間経営の温泉が相互協力の基に「復興の会」を発足して義援金を募るなどの活動を続けていますが、未だ営業再開の目途も立たない状態でいるのです。

再開意欲あるものの二重ローンが足かせに
自治体では500万円を上限として、施設の復旧などに助成する制度を設けています。いずれの施設も歴史が古く、その経営者の意欲も十分あるのですが、源泉の掘削費用の調達や分湯の協議、移転場所の選定などが進まず、再開の時期や手法が決まらない状態が続いています。
ある旅館は岩手宮城内陸地震から1年半後に週末の宿泊と日帰り入浴を再開しました。ところがその数ヵ月後、源泉の湯量不足と水道施設の改修で営業を断念することに。経営者は「夏の観光シーズンに向けて、日帰り入浴だけでも再開したいが、資金調達の目途が立たない」と苦悩の表情を浮かべています。

「震災前の債務と合わせ二重ローンになる。返済額が多額で融資が決まらない」と、使いやすい制度の新設や現制度の改善を求める声も。復興の会は5月、市に対して源泉確保への支援や各種資金の援助、市有の源泉からの分湯など7項目を要望しました。

沿岸の被害、内陸が支えに
3月に発生した東日本大震災では、栗原市周辺は最大震度6を観測。再び建物や設備に被害を受けたばかりではなく、その後の風評被害にも苦しみながらも、沿岸部の被災者の受け入れなどを積極的に行ってきました。沿岸部が壊滅的な被害を受け、内陸部の住民たちは「東北の経済復興は内陸で支えなければ」という使命に燃えています。
義援金の分配の遅れなども報道されていますが、メディアに取り上げられなくなった地域にも確実に支援の手が伸びることを願って止みません。

[2011.6.16配信]

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