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事業再生の現場から

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(39)愛こそが事業を救う!落語『芝浜』に見る再生のヒント

今年もとうとう師走。寄席には『芝浜』がかけられる時期になりました。知人の1人は「江戸っ子ならば12月は『第九』じゃなく『芝浜』」と語るほどの、古典落語を代表する人情話です。

「お前のおかげで真人間になれた」
目利き腕利きだが酒好きで怠け者の魚売りが、芝(現在の東京都港区南部)の浜辺で大金の入った財布を拾った。「これだけあれば遊んで暮らせる」と舞い上がった魚売り。仕事を放り出して宴会を開き、どんちゃん騒ぎをしたのも束の間。一晩寝たら女房は「大金を拾ったなんて妙な夢を…」と嘆き、残るは借金ばかり。
猛省した魚売りは心を入れ替え、酒も断ち、無我夢中で仕事に精を出す。その努力が実を結び、長屋住まいの行商だった魚売りは間もなく表通りに店を構えるほどの大成功を収めた。
財布の夢を見てから3年後の大晦日の晩、魚売りは妻に対してその献身をねぎらい、頭を下げる。ここで、女房が夢で拾った財布を差し出し、財布は主人が寝ているうちにお上へ届けたこと、その後落し主不明で財布の大金が下げ渡されたが、主人が元の酒飲みに戻ることを心配して隠していたことなどを打ち明け、「どうぞ気の済むまでぶってください」と詫びる。
全てを聞いた魚売りはしかし、女房を責めることなく、逆に「お前のおかげで真人間になれた」と深謝する。安心した女房に3年間ぶりの酒を勧められ、猪口を差し出した魚売りだが、口を付けるところでふと手を止め「よそう、また夢になるといけねぇ」

事業再生は家族の支えが大きな力
心機一転した魚売りのサクセスストーリーは事業再生そのもの。酒を断つというのはあまりにも辛い…という声も多く上がることと思いますが、なにも「お酒を飲むのはやめましょう」という噺ではありません。「働く事を揺るがせにしてはならない」と伝えています。
またこの噺は、「事業再生=経営者の再生」であるということと、家族の支えこそが事業再生の中でもかけがえのない大きな力を与えてくれるということを教えてくれます。

夫婦一枚岩で厳しい状況を打開
『芝浜』は、11月21日に75歳で永眠された立川談志師匠の十八番としても名高い演目。その「神懸かり」とさえ評された話芸の中では「情け無いねぇ!本当に酔っ払いたいんなら、夢で拾ってきたお金や私が借り集めてきたお銭々で酔うんじゃなくて、お前ぃさんが自分の腕と足とで稼いできたビタで、堂々と酔っ払ったらどうなんだい?!」
「貧乏だけれど機嫌よく働く、そういうお前ぃさんをいつまでも見て居たくて、私ぁ一緒になったんじゃないか!それなのに情け無いねぇ!近頃のあんたは、一体どうなっちまったんだい?!」と、とても男前な女房が登場しました。
セントラル総合研究所の手掛けた事業再生の成功事例を見ても、夫婦が一枚岩となり、その熱意が厳しい状況をも打開するというケースが少なくはありません。

落語を革新:談志師匠
談志師匠といえば毒を含んだ発言が注目されることの多かった方ではありますが、落語を革新し、現代風に磨き上げたのは大きな功績です。最期までその芸を磨き続けた師匠を見習い、邁進して参りたいものです。合掌

[2011.12.6配信]

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