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事業再生の現場から

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(49)「高速バス事故で浮かび上がる「規制緩和」がもたらした業界の歪み

「安かろう悪かろう」無理が生じるのは明らか

デフレ今年のゴールデンウィークは、群馬県藤岡市の関越自動車道で高速ツアーバスに乗車していた7人が死亡という、非常に痛ましい事故が発生しました。この事故は、単なる自動車事故に留まらず、事故発生によって「日雇い運転手」の存在がクローズアップされ、問題が深刻化しています。「日雇い」や「短期雇用」は道路運送法で禁止されていますが高速バスと一口で言っても似て非なるもの。
高速路線バスは道路運送法、ツアーバスは主に旅行業法が適用されます。ツアーバスは規制緩和後、インターネット販売を通じて急速に利用を伸ばしました。自由な価格設定が、高速バスのサービス向上に寄与したことは間違いありません。しかし、「安かろう悪かろう」というつもりはありませんが、過当な値下げ合戦のなかにサービスを持ち込もうとすれば、無理が生じるのは明らかです。バス事業に限ったことではなく、飲食業界や医療業界においても、過重労働による過労死などの問題が後を絶ちません。

無理な規制緩和が失敗?
中小企業であればなおのこと。企業努力の行き先が、従業員からの搾取につながることになりかねないのです。今回の事故についても、同業者からの「日雇いは当たり前」という証言もあります。
事件の背景から業界のゆがみが浮かび上がるにつれ、認可・許可事業に対して、市場原理を無理矢理適用させようとした規制緩和が大きな失敗であったとも考えられます。

支持された「自己責任」の規制緩和
旧政権が、各方面で推し進めた規制緩和のキーワードは「自己責任」でした。当時は国民から圧倒的支持を受けましたが、その政治の象徴となった郵政改革は、今や巻き戻しの方向が決定しています。
時間と政治への信頼が失われ続けるなかで、国会は依然として解散含みの展開。乗り物であれば、利用者の自己責任において利便性・安全性の吟味のしようがありますが、政治の乗り間違いがこの先も続けば、国家生命も危ぶまれます。

[2012.5.10配信]

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