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事業再生の現場から

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(52)年間2,000軒廃業!今年は「過去最多」の読みも/ガソリンスタンド倒産ラッシュ

スタンドがマンションへ

宮澤賢治景気低迷が深刻化していますが、住宅着工戸数、分譲マンション販売は未だ好調の様子。都内を移動していても、曲がる角ごとにマンションの建設現場が見られるほどの勢いです。 都心を少し外れると、マンション建設が街道沿いの交差点付近に目立つような気がしていました。よくよく思い出してみると、ガソリンスタンドの跡地が多いような気がするのです。

6万件のスタンドが十数年で3.9万件に激減
先日、帝国データバンクのレポートでガソリンスタンドの倒産増加について取り上げられていました。平成23年度のガソリンスタンドの倒産件数は56件で、前年度比14.3%増と大幅に増加。最盛期には全国で約6万軒(平成6年度末)あったスタンドの数も、22年度末には約3万9,000軒まで減少しています。ここ数年は毎年2千軒ずつと、減少ペースが加速しているとも。全業種の統計では0.5%減と、むしろ倒産が沈静化する傾向にあるなかで「ガソリンスタンドだけ異常な状態」とも言えます。 少し前は「オイルショック再来」とまでに原油高が騒がれていましたが、世界経済の減速に伴い原油価格も下落傾向。ガソリン価格も11週連続で下落が続いています。価格が下がれば下がるほど、値下げ合戦が熾烈になるのが世の常。独立系などで、平均よりも10円以上も安い価格を提示するスタンドも出現しています。

規制強化でタンク改修が重荷に
価格競争でお手上げになっているところへ、消防法規則の改正により、設置から40年以上たった老朽タンクの改修が義務づけられました。老朽タンクを利用しているスタンドにとっては、1カ所当たり数百万円のコストが必要となります。 この改修の期限は来年1月までと定められていることから、今年度は廃業に追い込まれる事業者が多数出ると見込まれます。過去10年間で最多だった平成20年度と同水準、あるいはそれを上回る規模になる可能性も否めません。

自動車メーカーCM:「車に乗ろう」から「免許をとろう」へ
若者の車離れや低燃費車の普及によるガソリン需要の低迷も業界衰退の大きな原因のひとつ。大金をはたいて改修したところで、この先も熾烈な価格競争に苦闘しなければならないと考えると、経営続行に二の足を踏む経営者が増えるもの頷けます。 今がバブル経済と共に異常増殖した業界が淘汰されるターニングポイントであるのかもしれません。願わくは、疲弊しきって廃業に追い込まれるのではなく、勇気ある撤退や、未来を見据えた転業であってほしいものです。 若者の車離れに関して、某大手自動車メーカーのCMで、単なる商品PRではなく「免許を取ろう」という啓蒙も試みられています。時代の変化を憂うのではなく、目先を変えたアプローチや、思い切ったビジネス転換の好機と捉え、新しいことにチャレンジして参りましょう。

[2012.7.10配信]

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