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事業再生の現場から

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(67)家族の理解なくして成功なし!決断・実行、その前に──
その1:泣いて帰った現場調査員

リースバック事業再生は家族の協力が重要
成功する経営者の条件は様々ありますが、「夫婦仲が良い」ということも重要なポイントです。「余計なお世話」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これまでには「社長が愛人に走って経営が悪化」といった例もあります。
そこまで極端な例は特殊ですが、家族経営の小さな会社であればなおさら、経営の現場で度々訪れる危機を乗り越えるためには、配偶者をはじめとした家族の協力が重要になってきます。
家族の励ましが経営者の精神的な支えになるのはもちろんのこと、事業再生に向け、いざ大改革を始めようというその時に、家族の了承が無いことには話が進みません。時には、家族の反対が大きな障害となる場合も。昨年の秋にはこんなことがありました。

「ゲンチョーできませんでした…!」
支援先へ出向いていたはずの女性スタッフが、泣きながら帰ってきたのです。アパレル会社を経営する藤井氏(仮名)から「資金調達のために自宅のリースバックを行いたい」と申し込みを受けたのが1週間前。その日は朝から不動産業者と一緒に該当不動産の現地調査(略称:現調/ゲンチョー)へ行っていました。
調査対象は藤井社長が妻と子と豆柴の、3人+1匹が仲良く暮らす都内の自宅。今回は本人所有の一軒家です。しかも、普段は明るくサバサバして、日々の激務にも音を上げない、しっかり者の彼女がこれほどまでに途方に暮れるとはただ事ではありません。事情を聞いてみると、こんな経緯がありました。

家族に説明なしでリースバックを依頼で家族はパニック
現地調査のために藤井社長の自宅を訪問したところ、社長の奥様が「自宅を売却するなんて聞いていない!」と憤慨。藤井社長が相談にみえた経緯などを説明するも、パニックに陥った奥様は「許さない」の一点張りで、資料作成のための写真撮影なども拒否された、とのこと。
どうやら藤井社長は、事業を優先するあまり、家族に何の説明もなしにリースバックを申し込んだ様子でした。経営者自身の所有財産とはいえ、家族全員が住まう自宅に関することですから、家族の同意がなければこちらも動くに動けません。奥様の剣幕もあり、仕方なくその日は泣く泣く帰社したというわけです。
結局その後、同じようなことが2度ほど続き、2ヶ月遅れで現調を完了することができました。

コンサルタントの立場としては、自宅を保全しながら早急な資金調達を望むのであれば、一刻も早く現場調査を行い、その不動産をリースバックしたいところ。しかし「家庭の事情」にまで踏み込むことはできません。
この案件が成功するか否か──、続きは次回お伝えしたいと思います。

[2013.2.21配信]

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