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事業再生の現場から

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(72)生活保護費の浪費監視条例可決:兵庫県小野市/
過度なプライバシー制約の前に、誠実な制度運用を!

生活保護費 生活保護費でギャンブル禁止
この4月、兵庫県小野市にて「生活保護費や児童扶養手当の受給者が給付金をギャンブルで浪費してはならない」とする「市福祉給付制度適正化条例」が施行される運びとなりました。
小野市の人口は約5万人。生活保護費は24年度、約120世帯に約2億9千万円を支出しています。同市はそろばんの生産で全国シェアの70%を占める名産地。電卓やコンピュータの普及による地場産業の衰退、それに伴う失業率の上昇などが推察されます。
「読み書きそろばん」と謳われたように、学問の基礎となるツールに縁の深い土地でこのような議案が発生するのは、いささか皮肉が過ぎるように感じられます。

不正受給者は市へ報告が市民の責務
「生活保護費でギャンブル禁止」という旨だけならば、「税金を充てているので当然」と賛意を表したいもの。ただし条例では、不正受給や常習的な浪費を見つけた場合、市への情報提供が「市民の責務」と記載されており、「市民はパチンコなどで浪費している受給者を見掛けたら通報せよ」という内容の記述もあることで全国的に議論を呼びました。
この条例に関しては、これまでおよそ2,000件にも上る意見が市に寄せられ、6割が賛成だったとのこと。
しかし、誰が生活保護費受給者か──これは究極の個人情報です。当事者が公言しない限り、一般には知らされず、むしろ知っている方が問題になるでしょう。また、隣近所の被受給者がパチンコをしていたとして通報できるものなのか、はなはだ疑問です。

厚労省、需給中は年数回訪問調査
厚生労働省によると、受給中は福祉事務所のケースワーカーが年数回の訪問調査を行い、就労に向けた助言や指導をするとしています。それで事足りないのであれば、まずはそのシステムを改善すべきところ。
国内の被保護世帯数は増え続けており、経済環境が改善しない限り、今後も申請せざるを得ない人がいると思われます。ところが監視を恐れて申請をためらい、さらなる悲劇が生じる心配はないのでしょうか。

借金は恥?伸び悩む二重ローン問題の解消
東日本大震災で零細事業者の二重ローン問題を解消するため、国は昨年、事業再生プログラムを立ち上げました。ところが利用は伸び悩んでいるとのこと。
借金を恥じる、堅い「経営者根性」に気付いた自治体職員が電話で利用を促し、支援が続々と決まったという話も耳にしましたが、国や自治体には、まず、こうした心の通った制度運用を望みたいものです。

[2013.5.10配信]

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