初めての方へ資金調達債務返済、債務超過不動産リースバック

TOP > メールマガジン > 事業再生の現場から > (73)「薫風自南来」

事業再生の現場から

メールマガジンで紹介しております「事業再生の現場から」を紹介しています。


(73)「薫風自南来」〜誰もが季節を楽しめる環境を目指して

薫風の候 清々しい「薫風の候」
季節は初夏。沖縄では既に梅雨入り、他の地域でも真夏日を迎えるなどしてはいますが、したためる手紙に「薫風の候」と添えるのはやはり清々しいものです。
ところでこの「薫風」という言葉、手元の辞書にあたると「初夏、若葉の香をただよわせて吹いてくるさわやかな南風」とありますが、故事では初夏ではなく真夏のものであるそうです。

「薫風自南来(薫風南より来たる)」
という名句があり、その後には
「殿閣生微涼(殿閣は微涼を生ず)」
と続きます。
唐の文宗皇帝の「人皆苦炎熱 我愛夏日長(人は皆炎熱に苦しむも、我は夏の日の長きを愛でむ)」
つまり「世の中では皆夏の暑さに苦しんでいるが、私は日の長い夏が好きだ」と詠んだ句に対して、詩人の柳公権が返したものです。

興味深い柳公権の言葉
単純に見ると「実に良い南風だ。宮中に微かな涼しさを運んでくれる」と、他愛も無いやり取りと見受けます。ただし、柳公権のこの言葉には様々な解釈があり、興味深いのです。
暑いとはいえ、宮中を吹き抜ける風の心地よさ、清々しさはむしろ夏でないと味わえない」という訳や、禅思想を基にすると「滅却心頭火自涼(心頭滅却すれば火も自ずから涼し)」に符合する、という解説も。風の感じ方も、感性や境遇によって全く違うということでしょうか。

長引く不況で緩和政策も
リーマン・ショック以降、歴史的な不況が続いた日本国内では、事業再生の現場でも、事業継続、再建支援のために様々な緩和政策が講じられているのは周知ではあります。
とはいえ、中小・零細企業の多くが未だ灼熱か極寒かの状況に苦しみ喘いでいることは揺るぎない事実。経営者に限らずとも、「貧困」「生活苦」による痛ましい報道も途切れることがありません。

宮中は涼しいが、人々は灼熱の風に苦しんでいる
先述の「殿閣生微涼」には更に「宮中は涼しいけれども、人々は灼熱の風に苦しんでいるのだ」という風刺をこめた解釈もあるとか。 政府が涼しい顔をしていると言うつもりはありませんが、民衆の苦しみはより切実です。
「誰もが季節の風を素直に楽しむことができるように」という気持ちを持って、セントラル総合研究所は今日も相談にみえる方々のお手伝いをして参ります。

[2013.5.23配信]

ページトップへ