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(94)赤字でもとられる消費税!増税による経営者の悲鳴と景気後退のカラクリ

消費税増税 麗らかな春。新年度のスタートです
気持ちが新たになるこの4月ですが、多くの人にとっては「消費税増税」が第一の関心事であることでしょう。数カ月前から「駆け込み需要」が取り沙汰されていた一方で、その反動による増税後の「買い控え」と「景気後退」の懸念も強まっています。

バブル期の消費税導入、拒否反応なし
日本の消費税の歴史を振り返ると、竹下内閣時に消費税法が成立・公布され、3%の税率で施行開始したのが平成元年4月1日。
ただしこの時は、バブル期の好景気に沸いていたこともあり、「消費税導入」自体が話題にはなったものの、現在のような拒否反応や危機感は激しくはありませんでした。
では何故、今回5%から8%へ、同様に3%上げることに対して、これほどの危機感を覚えるのでしょうか。

3%から5%の税率引上げが景気停滞に
それは平成9年の橋本内閣時に消費税を5%へ上昇させたときに生じた景気の冷え込みによるものに違いありません。
つい先頃までの「失われた20年」という景気停滞と、不況が長引いた原因の一つが、この消費税増税にあるとも。
その前から営業していた経営者のみなさんは、「恐ろしい」という言葉すら易しく感じるほどの恐怖を覚えているに違いありません。

たった3%の影響
法人税をはじめとした直接税であれ消費税などの間接税であれ、納める者にとっては痛いものですが、その痛みには天と地ほどもの差があります。
「たった3%」とも言えますが、この3%の増税がどれほどの影響を与えるのか、ここで改めて考えてみたいと思います。

消費者向けの説明だけでは
消費税制度を理解するための事例の多くは消費者の立場で考えるので、100円の商品を買った時に、間接税として5円上乗せし、105円を支払っていたものが、3%の増税により108円に増えるといった例で説明されます。
しかしこれでは、本質的な説明がなされたとは言えないのです。

企業は原材料費や間接費にも消費税
大変なのは、商品やサービスを取り扱う企業です。
製造業の方ならお分かりかもしれませんが、一つの製品の価格には、原材料費や間接費、広告費といったものが含まれます。
つまり、これらの原材料費や間接費等といったものにも消費税はかかってきます。
数万円、数十万円単位になってくると無視できる数字ではありません。

製造,販売の行程に5つの消費税
例えば消費税5%時に、本体価格1,000円の商品を製造・販売するために、人件費を除いて原材料費など費用項目が5つあり、それぞれ100円がかかっていたとします。
この5項目に8%ずつ課税されるため、8円×5となり、消費税は40円上乗せ。
この商品自体にかかる消費税も50円から80円になるため、素直に価格に反映させると税込価格で1,050円→1,120円と、70円値上げすることになります。

便乗値上げの誤解
「アレ、本体価格が1,000円、消費税が5%から8%なら税込1,080円じゃないの?」
狐につままれた気分になっている方も少なくはないでしょう。
消費税が最終的な製品のみにかかるのであれば、税込1,050円が1,080円になるという単純な計算で済むのですが、いま述べたように論理はもう少し複雑。
ところがそれを知らない消費者が「便乗値上げ」と思ってしまう場合があります。その結果として、消費心理の過剰な冷え込みが懸念されるのです。

予定通り売上上がらなければ不本意な結果に
誰もが正確な知識を持っていれば消費者も必要以上の買い控えは行わないのでしょうが、企業にとっては、増税後しばらくは転嫁している予定の売り上げが上がらないなど、不本意な結果につながることも否めません。
遂に消費税増税が実施されたいま、この厄介を見越したうえで、事業計画を立てることが急務となっています。

[2014.4.8配信]

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