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地域金融機関のファンド「投資事業有限責任組合」直接農業法人への投資を解禁!
農地法改正で農業競争力強化
進むTPP交渉、農業の事業拡大へ資金調達支援
政府は、TPP(Trans-Pacific Partnership:環太平洋経済連携協定)交渉を見据え、農業の強化策として地域金融機関などがつくるファンド「投資事業有限責任組合」が直接農業法人へ投資することを解禁する方針を示しました。平成25年10月召集予定の臨時国会へ農地法など改正案を提出する予定です。
ファンドによる直接投資を解禁するのは、6次産業化などへ意欲のある法人が農地を借り、規模を拡大するための資金調達を支援。現行法では、企業が農業法人へ出資することは可能ですが、ファンドの出資は農家の自立性を損なうとし反対意見が強く認められていませんでした。
投資事業有限責任組合:リスクを投資額に限定した出資も可能に
投資事業有限責任組合は、投資事業有限責任組合法に基づく組合組織。組合員は、無限責任社員と有限責任社員の組み合わせで構成されます。有限責任社員を設定することが可能なため、投資家にとってはリスクを投資額に限定した出資が可能となります。従来は投資対象が未公開の中小企業に限定されていましたが、平成16年の法改正により規制は撤廃され対象を「事業者」とし上場企業にも投資することも可能となりました。
有限責任組合員が金融機関である場合は、銀行法による1社の総株式保有の割合が5%ルールも適用除外。幅広い投資家からの出資が期待されます。
農業参入法人へ新たな融資も
法改正により農林漁業向けファンドを組成する地域金融機関の資金は、有望な貸出先として農業法人へ行き渡る効果が期待されます。政府は、ファンドの直接農業法人への投資解禁のほか、新たに農業を始める法人向けに公的な融資も改善するとしています。国内の農業を活性化させ、安い輸入農産物への競争力を高めます。
一方、国が設立した「農林漁業成長産業化ファンド」は、サブファンドとして新たに足利銀行が平成25年9月27日、「とちまる6次産業化成長応援ファンド」を設立。事業規模は20億円規模で北関東3県で6次産業化事業者を支援します。農業事業ではみずほ銀行や栃木県内の信金、信組も加わりました。
農産物の重要5項目、TPP交渉で守れるか
平成25年10月3日よりインドネシアにてTPP閣僚会議が開かれ、農業団体など改めて農産物の関税撤廃を例外とするよう訴えます。政府はコメや麦など農産物の重要5項目を例外とする方針を国会で決議。交渉での日本の主張は注目され、10月8日には首脳会合において大筋合意を目指しています。
ファンドの農業法人への直接投資は、日本の農業の持つ潜在能力を顕在化していくことへの支援となり、地域金融機関の農業法人出資への目利きが試されます。農業法人の新たな資金調達は、6次産業化への支援、促進と新たな支援策となりそうです。
[2013.10.11更新]