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再生事例

レンタカー業

*社名、名前、場所は仮称です。

取引先との手形決済で連鎖倒産の危機に!

  「今年に入ってからの売り上げが全部パァなんです!『黒字倒産』って言葉を知らなかったわけではないのですが、こうなってようやく思い知りました。本当に恐ろしいなって…」

 こう話すのは、家族でレンタカー屋を営む片柳社長(仮名)の息子さんです。片柳社長は20年前に脱サラをして、レンタカー業を始めました。小規模ではありますが、地元のマイクロバス需要のほとんどを請け負って、これまでとても順調に経営を続けてきました。景況の悪化が叫ばれるなかでも、昨年は息子夫婦のマイホームを新築し、その羽振りの良さは、東北地方(仮)の田舎町では飛びぬけた感もあります。

再生事例  その片柳社長に大きな衝撃を与えたのは、大口の取引先、ウェストヒルズサービス(仮称)の突然の倒産です。

 地元でも老舗の結婚式場などを経営するウェストヒルズサービスが自己破産申請をしたとニュースになったのは平成22年4月中旬。同県内では平成22年に入って最大の大型倒産として報じられました。ブライダル事業に留まらず、地元のJAと共同で葬祭事業も手がけていたウェストヒルズサービスとの提携により、片柳社長のレンタカー屋では、場合によっては臨時ドライバーを雇うほどであったと語ります。

 ところが、その売り上げも全てウェストヒルズサービスの申し入れ通りの手形決済だったのです。冒頭の息子さんの悲痛な叫びはそれゆえ。どれだけ多くの売り上げがあったとしても、手元に残された売上手形はもはや紙くず同然。片柳社長の企業が今後資金繰り悪化に見舞われるであろうことも、想像に難くはありません。

 「ここでうちまで倒産したら、地元の皆さんにも迷惑がかかる。うちまで倒れるわけにはいきません。これまで経営は全て親父任せにしていたことを反省しています。これからはがむしゃらに営業するだけでなく、取引先の倒産リスクも見ながらキャッシュフローを考えなければならないんですね。」

 息子さんはそう語り、後継者としての決意を新たにしています。


ウェストヒルズサービス社長を強引にでもセントラルへ呼んでいれば・・・

  セントラル総合研究所へは、日々、事業継続に窮する経営者からの相談が舞い込みます。その業種、地域は非常に幅広く、これまでには現在「事業仕分け」で話題になっている独立行政法人の再生実績もあります。特定の業種であるからといって、また、どれだけ遠方の企業であっても、それを理由に相談をお断りすることはありません。

ただし、相談にあたり1点お願いしているのは、会社の所在地がどれだけ遠方であっても、初回の相談については必ず、企業の代表者(個人の借り入れの場合は当事者本人)にセントラル総合研究所の事務所へご来社いただくことです。 電話、FAX、メールと、通信手段は多様化してきました。それによって、必要な情報のほとんどは瞬時にやり取りできるようになりました。しかし、私たちセントラル総合研究所のコンサルタントが、直接経営者にお会いする目的は、年商がどれだけあるか、キャッシュフローの状態はどうか、不動産の担保状況はどうなっているか、粉飾決算をしていないか…等、さまざまな事項の確認もありますが、数字の話だけではありません。経営者の再生に対する意欲を確認したいというねらいもあるのです。

再生事例ウェストヒルズサービスは地元では本格的な総合冠婚葬祭施設として草分け的な存在でした。ところが景気低迷によりブライダル需要が減少。それに加えて、閉店したファミリーレストランやパチンコ店の建物を利用した葬祭ホールの増加によって、葬儀・法事等の受注も激減。同県内では今年最大規模の倒産と報じられたウェストヒルズサービスですが、破産申請時の従業員数は20名あまり。年商も、ピーク時の半分までに落ち込んでいたというのです。

実は、セントラル総合研究所は以前、このウェストヒルズサービスの事業再生の相談を受けていました。自己破産申請から約半年前、昨年の秋のことです。そのときすでに、電話口のウェストヒルズサービスの社長は「破産を勧められている」と語りました。しかし、事業再生において逆転のチャンスはどこにあるかわかりません。受付の担当者がセントラル総合研究所の理念や事業再生の姿勢について説明をした上で来社のご案内をしたところ、ウェストヒルズサービス社長はそれを受けて「遠方のため、相談については改めて検討します」と言い残し、電話を切りました――。

通常は、相談者に対して判断を押しつけることがないようスタッフに徹底しているのですが、ウェストヒルズサービスの倒産が報じられた今となっては、そのとき引き下がったことが悔やまれます。

その後、ウェストヒルズサービス社長についての消息を尋ねたところ、妻の実家へ身を寄せているとの噂を耳にしました。願わくは、地域経済の活性化のためにも、同氏に再び事業の意欲を持っていただきたいのです。

これを読んでいる経営者の皆さんには、今一度、事業再生に対する強い信念を持っていただきたいと思います。コンサルタントに限らず、金融機関でも、専門家の方でも、大いに活用して、事業と雇用を守りましょう。
[2010.Z.12更新]

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