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事業再生関連法規制度等について

事業再生の概要

再生手法について(民事再生手続きと産業再生機構による再生事例)

産業再生機構の事業再生

再生事例:マツヤデンキ

T.企業プロフィール

  資本金:146億  従業員:975人 2001年3月期 売上:1400億円  大証1部上場
民事再生申請時   売上:1020億  負債:約662億円 メイン行 りそな 192億円
1951年10月大阪日本橋創業、全国39都道府県に店舗展開 80年12月大証2部88年9月大証1部に上場 関西地区第3位の大手家電量販店
2003年3月 直営店79店 FC81社204店 子会社店舗22店  合計305店
グループ企業:  北海道マツヤデンキ マツヤデンキドットコム
担当弁護士:上田裕康弁護士


U.民事再生申請に至る経緯と原因

1. 競合の攻勢による売上減少

  2001年以降コジマ、ヤマダデンキ・ヨドバシカメラの出店、ポイントカード戦略により苦戦を強いられる。2001年3月比約30%ダウン、廃店等のリストラするも売上減を招き、新規店舗ができず、売上減に歯止めがかからなかった。

2.借入金の増大  89年115億→93年668億  遊休資産売却も効果なし

バブル期の投資
  89年の社債発行に関連した損失を受け皿会社に191億融資して飛ばしによる先送りをしていた事が表面化、300億が回収不能になる。2002年3月期まで尾を引くことになる。
無計画なM&A
  90年代にM&Aを積極的に推進、92年北海道マツヤの前身を買収するが営業不振で思うような投資効率を得られなかった。
FC施策の失敗
  69年から積極的な出店攻勢
2003年3月期 
  268人リストラ 17店舗閉鎖 で黒字化するもメイン行リそなから役員受け入れ支援体制を作るが5月リそな国有化


V.事業再生にあたり当該社の強み(事業価値)は何か?

1機構の支援決定の理由

  ビジネスモデル(安心・信頼・利便性・地域密着)に再生の可能性
数年前からリストラ、150坪売り場に特化、大手が出店を見合わせる人口4〜5万都市において「街の電気屋さん」との隙間にビジネスチャンスを拡大していた。今回シニア層をターゲットに「家電コンビニ」をコンセプトにする戦略を加えた。
参考:営業譲渡額  130億円   78店舗(子会社22店舗)


W.「マツヤデンキ」の再生事例の特徴

1.民事再生手続きと産業再生機構によるスキームが併用された初めての例

  機構による支援決定よりも民事再生手続開始決定が先行した(Aと比較)
民事再生法と機構スキームの違い
○債務免除の形態 ⇒民再では別除権付以外全ての債権が再生債権となる(図参照)
○期間 ⇒民再6ヶ月・更生法1年・私的整理ガイドライン3ヶ月
○フロー(別紙 参照)

2.従来の例

  機構の支援決定後の『買取申込期間』に買い取り申込債権額と金融支援の同意金額の合計が「必要債権額」に満たない場合⇒機構スキームによる私的整理は成立せず失敗⇒民事再生法や会社更生法へ(機構法 32条、33条)
『買取申込期間』内に法的整理手続き(破産、民事再生、会社更生、会社整理、特別精算等)
の開始決定があったときは支援決定を撤回する(機構法28条1項4号)

3.民事再生法の失敗例

  2001年9月 マイカル(民再〜会社更生法)etc...
仕入先が取引縮小、売り場の品薄 集客力・売上が大きく落ち込んだ
11月の民再〜事業停止の4社の事例 (資本金6億・5000万・3億・11億)

【要因】
  2001年9月 マイカル(民再〜会社更生法)etc...
仕入先が取引縮小、売り場の品薄 集客力・売上が大きく落ち込んだ
11月の民再〜事業停止の4社の事例 (資本金6億・5000万・3億・11億)

4.本件の基本方針

  適正な入札による、スポンサーまたは受け皿会社への「営業譲渡」が事業の早期再生のため最も望ましい。それにより事業化価値の極大化をはかり全ての債権者への配当の極大化になる。
営業譲渡の譲渡代金と営業譲渡対象外の残存資産の売却代金をもって再生債権の弁済をする。

5.概念図とタイムスケジュール


X.本件の手法のポイント

1.営業譲渡

  迅速に行なうことが命題であるが、商法上、株主総会の特別決議を必要とする。公開会社であるため 期待はうすくできたとしてもその間に事業価値は大きく毀損してしまう。
そこで民事再生手続きをとった上で裁判所の代替許可(民事再生法43条)を得て営業譲渡を行なった。

2.仕入先の協力が不可欠 和解契約の締結

  各仕入先は納入商品に対して「所有権留保」「譲渡担保権」「動産売買による先取特権」等の担保権=別除権を有しており、ほとんどの回収ができてしまう。これを個別にされると大変困るのと、継続的納品が不可欠。
  仕入れ債務である再生債権に関しては従来の取引条件で全額を払う代わりに、別除権の不行使、及び 再生会社への継続的商品供給を行なうことの和解契約を締結した。
監督委員から包括的な同意をえた。それは機構が介入したことに対する安心感でもある。

3金融機関の債権

  機構スキームでは別除権者である金融機関の債権を買い取ることが可能。これにより営業譲渡がスムースにすすむ。

4.仕入先以外の債権(外注費など)

  300万以下の小額債権の弁済

5.資金繰りの問題

  メイン行によるDIPファイナンスにこだわり実施  自己規律を期待
東京スター銀行も名乗り

6.プレパッケージ型

  企業とスポンサー、主要債権者が事前に営業譲渡などの再建計画に同意する事業再生モデル

Y.スポンサーの決定

  入札方式により新生銀行グループ「潟jューMDパートナーズ」へ営業譲渡
決定理由⇒  ○譲渡価格の高額  ○当該者のビジネスモデルに沿う事業計画策定先
新生銀行執行役員C.グラニンジャー「同行の企業再生事業(ソリューションバンキング)」の一環
であり、本業、顧客基盤を高く評価、機構の関与による手続きの透明性を評価」

Z.その後

@旧経営者 旧会社の処理、その後は「新会社で何らかの形で手伝いたい」
A新会社の社長 檜山氏 東芝出身者
B2006年550億円 営業利益13億円 承継社員 650人超
C破産の場合の配当率の試算
A)資産価値 11,098 (百万円)
B)優先債権等  2,378
  C)別除権等     9,256
一般債権配当財源A−B−C ▲536
一般再生債権       55,558
一般債権弁済率      0.00%

タイムスケジュール

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