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事業再生関連法規制度等について

社内勉強会

金融商品・サービスのトラブル解決:金融ADR

弁護士や司法書士へ依頼する必要がない解決法

管理会計金融ADR(Alternative Dispute Resolution:裁判外紛争解決制度)は、平成21年6月に公布された「金融商品取引法などの一部を改正する法律」において、金融商品取引法を含む16の法律(※1)に追加され、創設されました。金融機関などは、平成22年10月から金融ADR機関(指定紛争解決機関:※2)と契約を締結するよう義務づけられています。金融ADR機関は、金融や保険、証券など業態ごとに金融ADRの枠組みがあり、金融機関などとのトラブル、紛争について解決を図ります。金融ADR機関には、金融分野に見識ある中立で公正な専門家が確保され、和解案を提示し、当事者館の問題を解決します。金融機関などには、この和解案を拒むことはできません。金融ADRは、裁判での解決に比べても弁護士や司法書士など用意する必要もなく短時間、低コストで問題が解決するというメリットがあります。
金融ADR機関は行政庁が指定、監督し中立性、公正性を確保しています。当事者から紛争解決の申し立てを受けた場合、金融機関などに和解案の尊重などをもとめ紛争解決を実行。金融庁では、法的枠組みのもと、当事者に納得感のあるトラブル解決に向け迅速、簡便、柔軟に解決策を見いだし、金融商品やサービスへの信頼性をも向上させるとしています。
※1:指定紛争解決機関制度が導入された 16 の法律
金融商品取引法、無尽業法、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律、農業協同組合法、水産業協同組合法、中小企業等協同組合法、信用金庫法、長期信用銀行法、労働金庫法、銀行法、貸金業法、保険業法、農林中央金庫法、信託業法、資金決済に関する法律、及び旧抵当証券業の規制等に関する法律。

※2:指定紛争解決機関一覧(団体名と業務の種別など)
社団法人生命保険協会:生命保険業務、外国生命保険業務
全国銀行協会:銀行業務、農林中央金庫業務
社団法人信託協会:手続対象信託業務、特定兼営業務
社団法人日本損害保険協会:損害保険業務、外国損害保険業務、特定損害保険業務
社団法人保険オンブズマン:損害保険業務、外国損害保険業務、特定損害保険業務、保険仲立人保険募集
社団法人日本少額短期保険協会:少額短期保険業務
日本貸金業協会:貸金業務

ADR機関、紛争委員の厳しい条件

金融ADR機関には経理的、技術的に基礎の要件が課せられています。経理では、適切な費用見込額が計上されているか、適切な収入が確保されているか、補填措置が講じられているかなどが必要となります。技術面では、苦情、紛争について限定なく体制が整備されているか、苦情に応じた手続きを的確に実施する知識を有するものが確保されているか、紛争委員の候補者が十分に確保されているかなどが必要となります。
また、紛争解決手続を適確に実施することができる知識、能力を持ち合わせた紛争委員にも金融商品取引法で定められた条件が課せられています。

※金融商品取引法第156条の50第3項より引用
紛争解決委員は、人格が高潔で識見の高い者であつて、次の各号のいずれかに該当する者(第一項の申立てに係る当事者と利害関係を有する者を除く。)のうちから選任されるものとする。この場合において、紛争解決委員のうち少なくとも一人は、第一号又は第三号(当該申立てが司法書士法第三条第一項第七号 に規定する紛争に係るものである場合にあつては、第一号、第三号又は第四号)のいずれかに該当する者でなければならない。
@弁護士であつてその職務に従事した期間が通算して五年以上である者
A金融商品取引業等業務に従事した期間が通算して十年以上である者
B消費生活に関する消費者と事業者との間に生じた苦情に係る相談その他の消費生活に関する事項について専門的な知識経験を有する者として内閣府令で定める者としています。

商品・サービスの多様化で金融トラブルも多様に

金融機関などでは、近年様々な金融商品を扱うようになり、商品・サービスが多様化、複雑化されてきました。十分な説明もなく、事業主が納得しない場合でも金融商品、サービスを薦められ、後にトラブルになるケースが増えています。金融ADRは、利用者の保護や利便性の視点から裁判に頼らず迅速に低コストで解決が図れるなど期待が持てます。
指定紛争解決機関をみると保険料が不当に支払えなかったり、金融商品のリスク説明が十分されず契約後に損失を出したなど生命保険会社や金融機関でのトラブルが考えられます。信託では、約束通りの運営がされないなど、中小企業経営者の身近に起きうるトラブルでもあります。過去、当事者同士で解決しない場合、弁護士費用、時間の拘束など敷居の高い裁判へ持ち込むしかなく、泣き寝入りする利用者も多くありました。金融ADRの整備によって、企業経営者や投資家など納得あるトラブルの早期解決が図れるでしょう。

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[2011.1.25更新]

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