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事業再生の現場から

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(3)その売り掛けは本当に入金されるのか

売上がパァに
「今年に入ってからの売り上げが全部パァなんです!『黒字倒産』って言葉を知らなかったわけではないのですが、こうなってようやく思い知りました。
本当に恐ろしいなって…」こう話すのは、家族でレンタカー屋を営むK氏の息子さんです。K氏は20年前に脱サラをしてレンタカー業を始めました。
小規模ではありますが、地元のマイクロバス需要のほとんどを請け負って、これまでとても順調に経営を続けてきました。景況の悪化が叫ばれるなかでも、昨年は息子夫婦のマイホームを新築し、その羽振りの良さは、地方の田舎町では飛びぬけた感もあります。

売上は紙くず同然に
そのK氏に大きな衝撃を与えたのは、大口の取引先:D社の突然の倒産です。地元でも老舗の結婚式場などを経営するD社が自己破産申請をしたとニュースになったのは今年の4月中旬。同県内では平成22年に入って最大の大型倒産として報じられました。ブライダル事業に留まらず、地元のJAと共同で葬祭事業も手がけていたD社との提携により、K氏のレンタカー屋では、場合によっては臨時ドライバーを雇うほどであったと語ります。
ところが、その売り上げも全てD社の申し入れ通りの手形決済だったのです。冒頭の息子さんの悲痛な叫びはそれゆえ。どれだけ多くの売り上げがあったとしても、手元に残された売上手形はもはや紙くず同然。K氏の企業が今後資金繰り悪化に見舞われるであろうことも、想像に難くはありません。
「ここでうちまで倒産したら、地元の皆さんにも迷惑がかかる。うちまで倒れるわけにはいきません。これまで経営は全て親父任せにしていたことを反省しています。これからはがむしゃらに営業するだけでなく、取引先の倒産リスクも見ながらキャッシュフローを考えなければならないんですね。」息子さんはそう語り、後継者としての決意を新たにしています。

[2010.6.2配信]

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