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事業再生の現場から

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(45)「多重債務者減」は成果にあらず!総量規制で業界縮小、ヤミ金跋扈の弊害
   政府:貸金業法見直しへ

中小・零細は「ヤミ金」相談増加、貸金業会は縮小
平成22年6月に貸金業法が改正されて以降、借入額の総量規制などにより、多重債務者は減少傾向にあるといいます。個人の信用情報を扱うJICC(日本信用情報機構)によると、借入れが5社以上ある多重債務者数は、今年1月末時点でおよそ51万人。この数は前年同月から24万人もの大幅減です。
ただし、この裏で「借りられない人」が増加していることは間違いありません。多重債務であっても、「借りて返して」を繰り返すことで生活を繋いでいた個人や、貸金業者からの融資を信用補完にあてながら事業に充てていた小規模・零細企業は更なる窮状に追い込まれ、あるいは撤退を余儀なくされています。
改正貸金業法の施行により、貸金業者自体も経営が悪化。事業縮小や廃業など、貸金業界全体が縮小傾向に。それと並行して、無登録で違法に融資を行う「ヤミ金」への相談が増加していることも報じられています。

※詳細はブログで紹介しています ⇒
「貸金業法、22年6月改正で多重債務者51万人に減、ヤミ金相談は3倍増、消費者金融業は壊滅」

法改正:儲かったのはヤミ金と弁護士だけ?
日本貸金業協会の行った利用者調査によると、事業者のヤミ金融接触率は23%にも上ります。「法改正で儲かったのはヤミ金と弁護士だけ」との声も。
また、金融庁の提示によると、改正後は「多重債務を理由とする自殺」が減少しているとのことではありますが、生活苦などを理由とした自殺は増えています。「借り過ぎて死ぬ」人の数が「借りられずに死ぬ」人の数に置き換わっただけと考えられなくもありません。
「多重債務は深刻な社会問題」として施行された同法ですが、改正以前から懸念されていたこれらの弊害が、そのまま現実となってしまいました。

平成24年:貸金業法見直しの年
貸金業法本体の施行は平成19年12月ですが、平成21年6月に、法律第58号付則第21条第2項は、次のとおり定めています。
「政府は、前項に定める事項のほか、この法律の施行後五年以内に、この法律による改正後の規定の実施状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」
つまり、施行後5年を迎える今年は、見直しを検討する年であります。昨年7月には貸金業法改正に取り組む超党派検討チームが総量規制の撤廃や上限金利の見直しと変動性の導入などを提言しましたが、貸金業法成立時に与党であった自民党公明党を中心に議員立法の動きがある様子です。また、現与党民主党も改正を視野に検討ワーキングチーム(WT)を発足させました。
「大失敗」とまで言われた22年度改正を経て、再改正を検討するにあたっては慎重な調査・分析が求められます。多種多様な企業において資金需要が高まっているいまこそ、利用者のニーズに応える強い姿勢で日本の経済をリードしてもらいたいものです。

[2012.3.8配信]

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