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再生事例

東北老舗ホテル

デューデリジェンス(精査)の結果、債務圧縮がカギ

  「金融機関からの出向者を副社長に迎えて経営を託してきましたが、このままでは大手ホテルチェーンの傘下にされてしまいそうです。本当にこの再生案で進んでいいのでしょうか」。平成18年1月、思い詰めた表情の一人の若き経営者がやってきた。駅前に聳える老舗ホテル(従業員約160 名)の3代目。資料を見ると、直近2年間はそれぞれ4300万円、5600万円の赤字。それ以前は2000万円近い黒字を計上していたのだから、この副社長の経営に問題がありそうだ。にもかかわらず、メインバンクは「これ以上の支援継続は無理、経営者交代、経営権譲渡」を告げてきたという。

  さっそくデューデリ(精査)を開始。問題点を洗い出す。再生の可能性は?金融機関の言いなりでいいのか。その結果は―「債務20億円、不動産評価額はその数分の一、ただし地元ではブランド力があり、債務を3分の1程度に圧縮できれば再生は可能」と出た。

社員のモチベーション維持、サービサーにて債務圧縮

  ただし、問題点も山積みだった。一つは社員のモラルの低下だ。出向してきた副社長の顔色ばかり伺う者が増え、ホテルに対するロイヤリティが落ちている。さらに驚くべきことに、税金や社会保険料を滞納していることもわかった。「副社長は本当に経営や再生実務を知っているのか?」デューデリ担当者は首を捻ったほどだ。ホテルに乗り込んだ弊社コンサルタントに対しても、当初社員の対応はあからさまだった。「東京からホテルを乗っ取りにきたのか」。

  コンサルタントはまず彼らを集めて再生スキームの説明会を開いた。最初は1人。2回目は3人。徐々にだが社員は胸襟を開いていく。同時に金融機関本部との交渉とスポンサー探しが始まった。この時、弊社専務・森田の中であるアイディアが閃いた。「金融機関にはうちと関係の深いサービサーを使った債権圧縮を提案しよう。サービサーには債権を数年間保有してもらい、ホテルはその間に再生を目指そう!」。このスキームで、金融機関は不良債権処理ができる。サービサーは利息(年間8%)を受け取れる。その間ホテルは営業努力を続け、黒字体質となれば3〜4年後には金融機関からの融資や私募債発行、増資等の方法でサービサーから債権を買い戻せる。3者のWinが成立する再生計画だ。

  そのスキームが完成し、現在、ホテルはサービサーやホテル業界コンサルタントも参加する再建チームが経営にあたっている。もちろんその中には、若き経営者の溌剌とした姿もある。

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テレビ東京「ガイアの夜明け」公式HP
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview060613.html
テレビ東京「ガイアの夜明け」番組紹介HP
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/keyword/20060611/index.htm


東北老舗ホテルの再生スキーム

弊社との支援契約を終了したその数年後、近年の不況、ビジネスホテルの進出などで売上減少。民事再生を申請、新たなスポンサーのもと今でも営業している。

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